Case19.犬のメラノーマの救世主⁉犬メラノーマワクチン
メラノーマとは悪性黒色腫のことで、「黒いできもの」として見つかることが多く、メラニン細胞(色素を作る細胞)が癌化する非常に進行の速い悪性腫瘍のことです。犬のメラノーマは好発部位によって悪性度が大きく異なり、特に口腔内に発生するものは非常に悪性度が高いです。
一般的な治療としては外科手術、放射線治療、化学療法(抗がん剤)などがあります。 今回ご紹介するのは免疫療法として、犬の口腔内悪性メラノーマに対して使われる Oncept®(オンセプト)メラノーマワクチンです。

Oncept®(オンセプト)メラノーマワクチンとは
DNAワクチンという新しいタイプの治療法で、アメリカなどでは承認されています。
従来の抗がん剤や放射線療法とは異なり、腫瘍細胞そのものを直接攻撃するのではなく、犬自身の免疫系を刺激してメラノーマ細胞を攻撃させることを目的としています。
このワクチンにはヒトのチロシナーゼ遺伝子が組み込まれており、犬の体内でその遺伝子が発現すると免疫系が反応を起こします。その免疫反応が犬自身のメラノーマ細胞にも交差して働くため、再発や転移の抑制が期待されます。
使用対象は、原発腫瘍を外科的に切除したあとで、局所やリンパ節の病変がコントロールされているステージⅡまたはⅢの口腔内メラノーマの犬 です。つまり、腫瘍をある程度取り除いた後の「補助療法」として用いられます。投与は2週間ごとに4回行い、その後6か月ごとにブースター(追加接種)を行うスケジュールです。
副作用は比較的少なく、注射部位の腫れや一時的な倦怠感など軽度なものが主とされています。重大な副作用の報告はまれで、安全性は高いと考えられています。ただし、効果については研究によって結果が異なり、「明確な生存期間の延長が確認された」という報告もあれば、「有意な差は見られなかった」という報告もあります。そのため、確実な治療効果を期待するというよりも、再発リスクを少しでも下げたい場合の補助的な選択肢 として位置づけられています。
総じて、Onceptは「外科的治療後の再発予防を目的とした免疫療法」として有望な手段ですが、万能ではなく、手術や放射線治療と併用することで効果を最大限に引き出すことが推奨されています。治療を検討する際は、腫瘍のステージや全身状態を踏まえて、獣医師と十分に相談することが重要です。
治療をご希望の際は、一度当院にご相談ください。
Onceptによる治療の詳細
▶使用方法
2週ごとに4回接種、その後は6か月ごとに追加接種。
▶副作用
注射部位の疼痛や腫脹、一時的な倦怠感、発熱など。
▶費用
1本単位で220.000円(税込)、4回分セットだと770.000円(税込)になります。検査やその他治療費用は別途かかります。