Case18.猫エイズ・白血病を治せる未来がくるかもしれない
猫エイズ(猫免疫不全ウイルス感染症:FIV)と猫白血病(猫白血病ウイルス感染症:FeLV)は、どちらも猫にとって重大なウイルス感染症です。どちらも感染すると免疫力が低下し、さまざまな病気にかかりやすくなるという共通点がありますが、それぞれに異なる特徴や感染経路があります。
猫エイズとは
FIVは、主にケンカ等による咬み傷から感染するウイルスで母子感染も起こすことがあります。一度感染すると体内に長く潜伏し、数年後に発症することがあります。発症すると、口内炎や下痢、体重減少、貧血など、慢性的な体調不良が見られるようになり、将来的にはリンパ腫になるリスク因子にもなります。今のところ完治させる治療法はまだありません。外でのケンカを避けるため、室内飼いや去勢手術が有効な予防策とされています。
猫白血病とは
一方、猫白血病は、グルーミングや食器の共有、また母子感染など、比較的日常的な接触でも感染するウイルスです。感染すると、貧血や発熱、リンパ節の腫れ、口内炎、腫瘍(白血病やリンパ腫)などの症状が現れますが、初期のうちは無症状の場合もあります。猫白血病には予防ワクチンがあり、多頭飼いや外に出る機会がある猫には、ワクチン接種が強く推奨されます。こちらも今のところは完治させる治療法はありません。
検査方法
最も一般的なのが、迅速キット検査です。この方法では、猫の血液を少量採取し、ウイルスに対する抗体(猫エイズの場合)やウイルス抗原(猫白血病の場合)があるかどうかを調べます。検査は数分から15分程度で結果が出るため、来院当日に結果がわかる点が大きな特徴です。ただし、この検査法の欠点はどちらも感染初期では検出できないことがあるため、感染が疑われる場合は2~4週間後に再検査を行うことがあります。
また、より詳しい検査が必要な場合には、PCR検査という方法が用いられます。これは、血液中に存在するウイルスの遺伝子を直接調べる検査で、特に疑わしい結果が出た場合や確定診断が必要な時に行われます。
今回は、今まで治療法がなかったFIV/FeLVに対して、新しいお薬であるAviation(アビエイション)で両方のウイルス量が劇的に減少した症例をご紹介します。
1症例目
・3歳、去勢済み雄の雑種猫
・FeLV陽性
・既往歴:慢性腸症(現在無治療で経過観察中)と臍ヘルニア(手術で治療済み)
・補足:以前から原因不明の肝酵素上昇あり(経過観察中)

投薬して1か月でFeLVのウイルス量は半量まで減少することができました。2か月目では、ウイルス量は減少することはなく維持という結果でした。大きな副作用はなく、まだ陰転はしていません。もう1~2か月経過を引き続き見ていきたいと思います。
2症例目
・3歳、去勢済み雄の雑種猫
・FIV陽性
・既往歴:FIP(寛解)
・補足:他院で血球3系統の低下が見られ、骨髄の異常ではないかとステロイドと免疫抑制剤で治療していたがよくならず、当院で検査した結果、FIV陽性による発症と診断

投薬して1か月でFIVのウイルス量は半量まで減少しました。大きな副作用はなく、まだ陰転はしていません。もう1~2か月経過を引き続き見ていきたいと思います。また、エイズ発症とともに口内炎も併発し始めたので、Mutoral(ミュートラル)による口内炎治療も併行することになりました。まだ始めたばかりですので、今後経過をよく観察してきます。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
お薬の詳細
Aviation (一般名:ビクテグラビル)はインテグラーゼ阻害剤であり、FIVおよびFeLVのインテグラーゼ活性部位に結合して阻害する。ビクテグラビルは抗ウイルス剤であり、猫の体内でFIVやFeLVが増殖するのを防ぎ、感染の進行を抑える抗ウイルス剤です。
体重に関係なく、1日1回1錠を飲ませます。投薬期間は基本的には生涯飲んでいくものですが、陰転した場合に、投薬をやめられるかどうかはまだ不明です。まずは3~6か月間投薬を継続してみて、副作用の有無、ウイルス量の変化などを1か月に1回の検査で調べて効果判定を行っていきます。
アレルギー体質・重度の腎障害や肝障害がある場合は慎重に投与する必要があります。副作用には、奇声・嘔吐・下痢・好中球減少などがありますが、いずれも重度ではないと報告されています。
費用は、1錠1100円(税込)になります。1か月で33000円(税込)になります。
猫ちゃんのFeLVやFIVの治療で悩まれている方は、当院までご連絡ください。
ブルーム動物病院: 045-710-0447