CASE

症例紹介

犬のリンパ腫、ラベルディアで治療した例

ラベルディア(Laverdia)はアメリカのFDAで承認がおりた犬のリンパ腫に使用する抗がん剤です。

注射ではなく内服薬であることと、副作用が比較的軽度であることが特徴です。

今回の症例は、多中心型リンパ腫のわんちゃんの症例です。

患者さんの情報

14歳のミニチュア・ダックスフント

去勢済み雄

治療の開始

体表リンパ節が腫れていてたため、細胞診の検査を実施。

その結果、B細胞性の多中心型高悪性度リンパ腫という診断になりました。

治療方針を決める際、飼い主さんの意向で「副作用が少ない治療法」を希望されたため、初回にロイナーゼという皮下注射の抗がん剤の投与を行い、その後ラベルディアを週に2回内服投与することにしました。

治療開始から2週間後

大きな体調面の変化なく、食欲元気があり、嘔吐や下痢などの消化器症状もみられませんでした。

血液検査では軽度に肝酵素上昇がありましたがそのほかに大きな変化はなく、

エコー検査で確認したリンパ節の大きさもほぼかわらず、維持病変でした。

そのためラベルディアの量を増量し、週2回の内服投与を継続としました。

治療開始から4週間後

ラベルディアの増量後も大きな体調の変化なく、食欲元気があり、嘔吐や下痢などの消化器症状はみられませんでした。

血液検査からも大きな副作用の出現は認められませんでした。

エコー検査では、ロイナーゼの効果が切れたからなのか、リンパ節がやや肥大していました。

現時点でラベルディアの増量から2週間しか経過していないことと、注射の抗がん剤はあまり使用したくないという飼い主さんの意向から、このままラベルディアでの治療を継続することにしました。

治療開始から2か月後

食欲元気はあり、体調面は変わらず。

血液検査ではHCT(ヘマトクリット)の値が改善し、WBC(白血球数)の値も基準値に入りました。肝臓の数値も基準値になり、明らかな副作用は認められませんでした。

エコー検査では、各体表リンパ節が縮小していました。

その後1か月ごとに経過をみていますが、食欲元気があり、体調面で問題なく経過しています。

エコー検査ではリンパ節の大きさも変わりなく維持できている状態です。

おわりに

今回の症例では、ラベルディア投与の前後でリンパ節の大きさに変化はありませんが、肥大することなく経過できています。

何よりも副作用が少なく、わんちゃんの生活の質を落とすことなく抗がん治療を継続できていることにこの治療の意義があると思います。

まだラベルディアを使用している動物病院は日本にほとんどありません。

通常ラベルディアはT細胞性リンパ腫に効果があると言われておりますが、B細胞性リンパ腫にも効果があるケースも報告があります。

まだ治療症例が少ないため不明点も多いですが、すべてのリンパ腫でこのお薬が適応になる可能性もあると思います。

抗がん剤の選択肢の1つとして紹介させていただきました。また、今後の経過もブログでご報告させていただけたらと思います。

ここまでお読みいただきありがとうございました。

お薬の詳細

ラベルディア(Laverdia)

海外で、犬のリンパ腫にのみ認可がおりている経口抗がん剤です。

こちらの抗がん剤のメリットは、一般的に使われる注射による多剤併用プロトコルで用いられるオンコビンやシクロフォスファミド、ドキソルビシンなどでみられる骨髄抑制や下痢嘔吐などの消化器症状などの副作用がみられにくいことです。

報告では、重篤な副作用はほとんどみられず、対症療法で改善する程度の副作用であると言われています。また、内服薬なので注射の為に通院する必要がなく、自宅での治療が可能です。

デメリットは、まだ日本での使用例が少ないため情報が少ないこと。

一般的な用量用法は、初期投与は1.25mg/kgを週2回(72時間あけること)で2週間投薬します。そこで副作用がなければ、1.5mg/kgを週2回に増量して継続します。

もしも副作用がみられた場合は、1mg/kgを週2回に減量します。

費用は、体重5kgの犬の場合、1回約3000~6000円(税込)になります。(この費用の他に検査代や調剤代がかかります。)

貧血の治療薬一覧