INFOMATION

一般診療

呼吸器科治療

呼吸器科の主な疾患

短頭種機動症候群

短頭種とはパグ・フレンチブルドッグ・シーズー・ペキニーズ・ボストンテリア・ブルドッグなどを代表とした鼻が短い犬種を指します。短頭種は他の犬種よりも生まれつき気道が狭い傾向にあります。また、『気道』とは鼻・鼻甲介や鼻咽頭(鼻の奥)・喉頭(のど)・気管など肺に通じる空気の通り道を示します。
短頭種気道症候群とは、このような犬種において認められる気道の解剖学的異常を指します。具体的には、外鼻孔狭窄、軟口蓋過長、喉頭小嚢の外転、喉頭虚脱、気管低形成などが含まれ、これらの内ひとつもしくは複数が組み合わさり症状が現れます。

気管支肺炎

動物の気管支肺炎は、気道から肺に細菌感染が広がり、肺炎が生じる疾患です。主な原因にはウイルス、細菌、真菌、寄生虫などがあります。症状としては、元気がない・食欲不振・発熱・湿った咳・呼吸促迫が見られます。急性の呼吸困難を示すことは少ないですが、開口呼吸が見られることもあります。特に免疫力の低下した高齢動物や若齢動物に多く見られます。治療には抗生剤や抗ウイルス剤、抗真菌剤などの薬物療法が必要です。また、重症の場合には酸素吸入や点滴などの支持療法が行われることもあります。

慢性咳嗽(がいそう)

慢性咳嗽とは、咳が数週間以上続く状態を指します。犬や猫の慢性咳嗽は、気管支炎や気管支喘息、慢性心疾患、気管・気管支虚脱などが原因で発生します。症状としては、持続的な咳、呼吸困難、痰などが見られます。治療は原因に応じて、薬物療法や生活環境の改善などが行われます。

慢性鼻炎

慢性鼻炎は、長期間にわたり鼻の粘膜に炎症が起こっている状態です。主な症状には、くしゃみ、鼻汁、呼吸困難などがあります。原因は多岐にわたり、ウイルスや細菌、真菌などの感染症、アレルギー、鼻腔内の腫瘍、異物の吸引などが考えられます。治療は、原因に応じた薬物治療や異物除去などが行われます。

軟口蓋過長症

動物の軟口蓋過長症は、口腔内の軟口蓋(口の天井部の柔らかい部分)が通常よりも長い状態で、呼吸に障害を引き起こす病気です。特にフレンチブルドッグやパグなどの短頭種に多く見られ、息を吸うときに特徴的な「ブーブー」や「ガーガー」という音がします。治療には手術が必要です。

呼吸器科の治療の流れ

1
問診・身体検査

これまでの経緯、今までの病歴、現在の症状に関してよくお話を伺います。その後、呼吸状態の慎重な視診、聴診、触診を行います。
症状に関しては今後の治療反応を評価するためビデオを撮らせていただくことがあります。この時点で、考えられる病気についてご説明します。

2
血液検査(CBCおよび血液生化学)

肝臓や腎臓を始めとする腹部臓器の働きを調べ、呼吸器疾患に合併している病気の有無を確認します。すでに前の動物病院での検査結果があればそれを参考とさせていただきますが、検査結果がわからなければ行わせていただきます。

3
頭部・胸部レントゲン

頭部は特に咽頭気道と頚部気管について閉口時の吸気と呼気を両方撮影します。
胸部は気道、肺、心臓について主に撮影します。側面像を吸気と呼気の2枚、背腹像を1枚撮影することが多いです。

4
(必要に応じて)内視鏡検査・気管支鏡検査

喉頭、気管、気管支の内部を内視鏡で観察し、病変がみつかれば気管支鏡下でその一部をとり(生検といいます)詳しく調べることもあります。

腫瘍科治療

腫瘍科の主な疾患

リンパ腫

血液の白血球の一つであるリンパ球が腫瘍化したものです。リンパ節は身体の至る所にあるので、基本的にはどこにでも発生します。できる場所によって、縦郭型、多中心型、消化器型、皮膚型、節外型に分類されます。
腫瘍細胞の種類によってBリンパ球、Tリンパ球、高分化、低分化等の区別も出来、同じリンパ腫でも予後が正確に分かるようになりました。
抗がん剤が効きやすい腫瘍の為基本的には抗がん剤治療が中心ですが、状況によっては外科手術・放射線治療を行うこともあります。

脾臓腫瘍

脾臓は血液を貯える臓器でお腹の中にあります。お腹の中に隠れているため、皮膚の腫瘍と違って発見が遅れてしまいます。自覚症状もない為、破裂して出血してから緊急で手術ということもしばしばあります。脾臓の悪性腫瘍には血管肉腫・肥満細胞腫・リンパ腫があります。

腸管腫瘍

腸に腫瘍ができてしまうと、腸閉塞によって吐き気が生じたり、物が食べられなくなったりします。レントゲン・エコーで診断し、腫瘍部分の腸を切除し、正常な腸同士をつなぎ合わせます。
腸の腫瘍には腸腺癌、リンパ腫、消化管間質腫瘍などが比較的多くみられます。

乳腺腫瘍

犬では最も多い腫瘍で、高齢の避妊をしていない雌に多発します。犬では50%が悪性、猫は80%が悪性です。切除して病理検査を行います。
早期(1歳以内)に避妊手術をすることによって乳腺腫瘍の発生率が低下します。

肝臓腫瘍

肝臓は沈黙の臓器と言われ、病気が進行しても症状がほとんど見られません。発見時にはかなり大きいサイズになってしまっていることがあり、末期になると食欲不振・嘔吐・下痢・腹水・黄疸などの症状がでます。
原則として手術が治療の第一選択となりますが、肝臓のどの部分に腫瘍があるかで難易度は大きく変わります。

腫瘍科の治療方法

外科手術

腫瘍を外科的手術によって取り除きます。腫瘍の種類や状態によっては手術のみで腫瘍を完治させることも可能です。腫瘍の減量を目的に行われることもあり、動物の苦痛を取り除きQOLを向上させることも出来ます。
一方で全身麻酔のリスクや費用・場所によっては手術が不可能という問題点もあります。

化学療法(抗がん剤・分子標的薬)

抗がん剤を使用し、治療する方法です。血液腫瘍やリンパ腫では抗癌剤が治療の第一選択になります。 また外科療法で不完全切除だった場合・術後の病理組織検査でがんの脈管内浸潤がみられた場合などに残った腫瘍細胞を叩く為に行います。
抗がん剤は増殖する腫瘍細胞を叩くと同時に、正常な体細胞にも影響を与え(骨髄や消化器)肝臓や腎臓に悪影響を及ぼすものもあります。しかし当院ではそれらの副作用を最小限にするために予め一般状態の把握、血液検査等を行います。当院では数種類の抗がん剤を用意しており、腫瘍の種類によって使用する抗癌剤を選んでいます。

オゾン療法

オゾンは一番の酸化物質であるため、殺菌作用が最も知られています。
生体への効用としては、酸素供給量を増やすことで、細胞の代謝を活性化させて免疫系の調節作用が期待できたり、抗酸化作用を高めることで動物自身の治癒する力を促すための治療法です。発生させたオゾンガスを、注射や腸に入れる注腸療法を行っています。