猫口内炎とは?
猫口内炎とはどんな病気?
猫の慢性歯肉口内炎(FCGS)は、ほとんどの猫ちゃんが生涯遭遇する疾患の一つで、治療で悩まされる病気です。
猫口内炎の原因は?
細菌・ウイルス・免疫・口腔内疾患などと言われることがありますが、まだはっきりとはわかっていません。
食欲や飲水欲はあるのに、口が痛くて食事ができずに脱水が起こり、結果として腎臓が悪くなる流れが多いです。
逆に、腎臓病から二次的に歯肉口内炎になるケースもあります。
従来の猫口内炎の治療法
猫口内炎の治療法には、内科的治療と外科的治療があります。
内科的治療
ステロイド・抗生剤・鎮痛剤・インターフェロンなどの対症療法でなんとか一時的に改善させるのが精一杯です。
外科的治療
全ての臼歯の抜歯あるいは全ての歯の抜歯を行います。
完治率は全臼歯抜歯で約60%、全ての歯の抜歯で80~95%といわれています。
さらには、歯肉口内炎が進行してしまうと抜歯をしても完治しないケースさえもあります。
・症状の初期段階での治療効果が高いこと
・歯がなくなること
・症状が進んだ状態では効果が低いこと
Mutoralの症例
当院では、Mutoralという新しいお薬を使って、抜歯をせずに根本治療が期待できる治療を行っています。
猫口内炎に罹患した猫ちゃんにMutoralを使った症例をご紹介します。
Mutoralを使用した猫の症例
・去勢済みのオス
・体重4.1kg
・猫エイズ(FIV)が陽性
症状・経過
半年前から口内炎の症状があり、抜歯をしても改善があまりなく、ステロイド・ビルデンタマイシン(抗生剤)・レペタン(鎮痛剤)・ソレンシア(鎮痛剤)を投薬しましたが良好な改善は見られませんでした。
よだれの出過ぎや口を痛そうにする様子がありました。舌の炎症もひどく歯肉の赤みもあります。
診断
口内炎の程度を測るための口内炎疾患活動性指数(SDAI)というものがあります。飼い主さんにスコアを付けてもらったところ、今回の症例では食欲減退3、活動性低下3、グルーミング頻度3の9点満点中9点で、重度の口内炎と評価しました。
治療
MutoralⅠを1回2錠で1日2回、Mutoralスプレーを1回4プッシュで1日2回行いました。
まだ赤みはありますが、かなり改善されています。
まだ舌の炎症はありますが、下顎の唇にあった赤みはかなり消えてきました。投薬2週目でMutoralⅠの効果があったため、MutoralⅡに移行して70日の投薬をすることにしました。移行後も状態はキープできており、目立った副作用も出ておりません。体重は4.02kgになり約100gの減少がみられましたが、飼い主さんいわく、すごくよく食べるようになり、違う猫になったかのように顔つきや動きが良くなったとのことでした。SDAIは9点中3点まで下がりました。血液検査でも投薬による副作用は見られませんでした。
Mutoralの用法と代金
Mutoralの用法
Mutoralには、MutoralⅠとMutoralⅡの2種類があります。
容量:体重1kgあたり半錠
容量:体重1kgあたり1/4錠
費用:
84日間分(Ⅰが14日間+Ⅱが70日間)で体重1kgあたり約45,000円
例)体重4kgの子の場合:費用約18万円
副作用には、アレルギー症状・傾眠・多飲などがありますが、いずれも重度ではありません。
猫の口内炎治療でお困りの方は、
当院までご連絡ください。