MEDICAL

腫瘍・がん治療

腫瘍科治療

腫瘍科の主な疾患

口腔内メラノーマ(犬)

犬の口腔内メラノーマは、色素細胞が悪性化して口の中にできる腫瘍の一種で、高齢犬に多く見られる病気です。歯茎や舌、唇などに黒色から肌色のできものが現れ、初期は症状がほとんどありません。しかし進行すると、口臭の悪化、よだれの増加、歯茎からの出血、食事の困難などの症状が現れます。この腫瘍は転移しやすく悪性度が高いため、早期発見が重要です。
治療は外科手術が基本となり、放射線治療や化学療法を併用することもあります。ステージが進んでしまうと外科手術をしても予後が悪いことが多く、半年以内に亡くなってしまうことも少なくありません。そのため、当院では悪性化した色素細胞を除去するワクチンを術後に投与し、生存期間を延長する新しい治療法を行っています。
当院で行うメラノーマ治療

ご希望の方には、悪性化した色素細胞を除去するワクチン「オンセプト®メラノーマ」を外科手術後に以下のタイミングで投与し生存期間の延長を狙います。また、外科手術においては電気化学療法(後述)を併用することも可能です。

最初の4回
手術後すぐ・手術2週間後・手術4週間後・手術6週間後
それ以降
手術7.5ヶ月後頃、その後6ヶ月ごとに1度

最初の4回は基礎的な免疫記憶を確立することを目的としており、4回セットで承ります。費用は税込80万円程度です。
それ以降は、初回免疫によって確立された免疫記憶を強化・維持することを目的としており、1回毎に承ります。費用は1回ごとに税込22万円程度です。

リンパ腫

血液の白血球の一つであるリンパ球が腫瘍化したものです。リンパ節は身体の至る所にあるので、基本的にはどこにでも発生します。できる場所によって、縦郭型、多中心型、消化器型、皮膚型、節外型に分類されます。
腫瘍細胞の種類によってBリンパ球、Tリンパ球、高分化、低分化等の区別も出来、同じリンパ腫でも予後が正確に分かるようになりました。
抗がん剤が効きやすい腫瘍の為基本的には抗がん剤治療が中心ですが、状況によっては外科手術・放射線治療を行うこともあります。

脾臓腫瘍

脾臓は血液を貯える臓器でお腹の中にあります。お腹の中に隠れているため、皮膚の腫瘍と違って発見が遅れてしまいます。自覚症状もない為、破裂して出血してから緊急で手術ということもしばしばあります。脾臓の悪性腫瘍には血管肉腫・肥満細胞腫・リンパ腫があります。

腸管腫瘍

腸に腫瘍ができてしまうと、腸閉塞によって吐き気が生じたり、物が食べられなくなったりします。レントゲン・エコーで診断し、腫瘍部分の腸を切除し、正常な腸同士をつなぎ合わせます。
腸の腫瘍には腸腺癌、リンパ腫、消化管間質腫瘍などが比較的多くみられます。

乳腺腫瘍

犬では最も多い腫瘍で、高齢の避妊をしていない雌に多発します。犬では50%が悪性、猫は80%が悪性です。切除して病理検査を行います。
早期(1歳以内)に避妊手術をすることによって乳腺腫瘍の発生率が低下します。

肝臓腫瘍

肝臓は沈黙の臓器と言われ、病気が進行しても症状がほとんど見られません。発見時にはかなり大きいサイズになってしまっていることがあり、末期になると食欲不振・嘔吐・下痢・腹水・黄疸などの症状がでます。
原則として手術が治療の第一選択となりますが、肝臓のどの部分に腫瘍があるかで難易度は大きく変わります。

腫瘍科の治療方法

外科手術

腫瘍を外科的手術によって取り除きます。腫瘍の種類や状態によっては手術のみで腫瘍を完治させることも可能です。腫瘍の減量を目的に行われることもあり、動物の苦痛を取り除きQOLを向上させることも出来ます。
一方で全身麻酔のリスクや費用・場所によっては手術が不可能という問題点もあります。

内服治療

リンパ腫

抗がん剤が治療の第一選択になります。抗がん剤は増殖する腫瘍細胞を叩くと同時に、正常な体細胞にも影響を与え骨髄や消化器)肝臓や腎臓に悪影響を及ぼすものもあります。しかし当院ではそれらの副作用を最小限にするために諸検査を行って体の内部の状態を確認するようにしています。
当院ではリンパ腫の治療や緩和に以下のようなお薬・サプリメントを使います。

当院でリンパ腫治療に使用するお薬

特徴

投薬頻度

投薬方法

投薬1回の費用目安(税込)

※体重5kgの場合

副作用

UW25

最も標準的な治療法

4種の抗がん剤をローテーションで投与

1~2週間に1回

静脈点滴

皮下点滴

約1万円

検査代・処置代別途

骨髄抑制・嘔吐・下痢・食欲不振・肝臓や腎臓の数値上昇など

ロムスチン

UW25が効かない場合に使うお薬

4~6週間に1回

経口投与

約2.5万円

検査代別途

骨髄抑制(特に白血球減少が重度)・嘔吐下痢・食欲不振・肝酵素上昇な ど

ニムスチン

UW25が効かない場合に使うお薬

3週間に1回

静脈注射

約1.5万円

検査代・処置代別途

骨髄抑制(特に白血球減少が重度)・嘔吐下痢・食欲不振・肝酵素上昇など

ロイナーゼ

根治させるほどの効果はなく、緩和させるお薬

1週間に1回

皮下注射

約1万円

検査代・処置代別途

稀にアナフィラキシー症状が出るが、重篤な副作用はなし

Laverdia

犬の治療成果はたくさんあるが、猫には未認可なためエビデンスが少ない

1週間に2回

経口投与

約2,400~5,900円

検査代別途

重篤な副作用はなし

当院でリンパ腫の緩和に使用するお薬

特徴

投薬頻度

投薬方法

投薬1回の費用目安(税込)

※体重5kgの場合

副作用

プレドニゾロン

ステロイド剤

効果はあるが腫瘍を完全には無くせない

1~2日に1回

皮下注射

筋肉注射

約110円

検査代・処置代別途

高用量で長期に使用すると副作用あり

白豆杉

漢方薬の一種で、緩和程度の効果しか期待できない

1日に2回

経口投与

約450円

検査代別途

副作用はなし

アニミューン

免疫系のサプリメント

1日に2回

経口投与

約100円

検査代別途

副作用はなし

オゾン直腸法

抗酸化作用・抗炎症作用・鎮痛作用・抗腫瘍効果に期待できる

1週間に1~2回

直腸に注入

約3,300円

検査代・処置代別途

副作用はなし

血管肉腫

血管肉腫は血管内皮から発生する悪性腫瘍です。悪性度が非常に高いことが知られており、高い確率で他の部位・全身に転移します。
血管肉腫が発生した部位にもよりますが基本的に治療の第一選択は外科手術となります。ただ高い転移率を鑑み、外科手術をするか否かを問わず内服治療を実施します。
内服治療では以下のようなお薬を使用します。また、当院では抗がん剤と並行してレブリチンを投与し、抗がん剤の効果を強める役割に期待します。レブリチンの費用は体重1kgあたり7,000円です。

当院で血管肉腫の治療に使用するお薬

特徴

投薬頻度

投薬方法

投薬1回の費用目安(税込)

※体重5kgの場合

副作用

ドキソルビシン

血管肉腫で最も一般的に使われる抗がん剤

1週間に1~2回

静脈点滴

8,000円

検査代・処置代別途

吐き気・嘔吐・下痢・骨髄抑制・重度の組織壊死

カルポプラチン

ドキソルビシンに対するアレルギーや副作用がある場合に使用

1週間に1~3回

静脈注射

11,000円

検査代・処置代別途

吐き気・嘔吐・下痢・食欲不振・腎障害

トセラニブ

ドキソルビシンが効かない場合や再発した場合に使用

隔日に1回

経口投与

1,500円

検査代別途

嘔吐・下痢・貧血・発疹・まれに肝障害

シクロフォスファミド

メトロノミック療法(低用量の抗がん剤を定期的に投与する治療法)で使用

1日に1回

経口投与

150円

検査代別途

ほぼ副作用なし

当院で血管肉腫の緩和に使用するお薬

特徴

投薬頻度

投薬方法

投薬1回の費用目安(税込)

※体重5kgの場合

副作用

i'm yunnity

(アイムユニティ)

カワラタケから抽出された成分を含むサプリメント

抗酸化作用に期待

1日に1~2回

カプセル

粉末

1,200円

検査代別途

副作用はなし

雲南百薬

(雲南田七)

止血効果・抗炎症作用がある漢方

1日に1~2回

カプセル

粉末

200円~700円

検査代別途

長期使用で肝臓や腎臓への負担が懸念される

アテノロール

心臓への負担が併発している場合に使用

1日に1~2回

錠剤

粉末

50円

検査代別途

過剰投与により低血圧、徐脈、疲労感などが懸念される

電気化学療法

当院では、「ElectroVET V4」という最新の電気化学治療機器を使用しています。体表にある腫瘍の中でも、口腔内や肛門など外科的切除が不可能なところや体表にあっても取りきれない腫瘍に対して、電気化学療法を用います。
具体的には、腫瘍部位に電気を加えてがん細胞を破壊した後に、少量の抗がん剤(ブレオマイシン等)を投与することで腫瘍組織を壊死させ、それが治る過程で正常細胞に置き換わっていくことを狙います。電気化学療法を施すことで抗がん剤の効果を数千倍に高められることが期待でき、副作用はほとんど無く、治療成績も良好な治療法です。そして、内臓組織への副作用はほとんどありません。
費用は1回10〜15万、効果が出るまでに数週間かかります。腫瘍の大きさによっては複数回の治療が必要なこともあり、大きな腫瘍だと3〜4週間ごとに3〜4回の治療を施します。

鎮静もしくは麻酔が必要となる治療法なので、基礎疾患がある子には注意が必要です。

マイクロ波療法

「Emprint Ablation System」という機械を使った新しい治療法です。特に肝臓腫瘍の場合、治療は手術が第一選択となりますが、腫瘍が太い血管に近いために切除できない場合やすでに肝機能が低下していて切除のデメリットが大きいこともあります。
そんな場合に、この機械を腫瘍に刺しマイクロ波を発生させて腫瘍の中から細胞を焼灼(しょうしゃく)します。壊死した細胞が治る過程で正常な細胞に置き換わることを狙います。マイクロ波療法は肝臓腫瘍以外の腫瘍疾病にも適応することがあります。

オゾン療法

オゾンは一番の酸化物質であるため、殺菌作用が最も知られています。
生体への効用としては、酸素供給量を増やすことで、細胞の代謝を活性化させて免疫系の調節作用が期待できたり、抗酸化作用を高めることで動物自身の治癒する力を促すための治療法です。発生させたオゾンガスを、注射や腸に入れる注腸療法を行っています。

T-DCD(樹状細胞抗原送達キット)

自己の腫瘍組織から作る免疫療法の一つです。
自己の腫瘍抗原をナノカプセル化し、それを皮下に接種することで樹状細胞に封入抗原を送達し、免役応答の誘導を起こします。
メリットは、自己の組織を使用するため副作用がほとんど起こらないこと、何の腫瘍かわからなくても腫瘍組織もしくは細胞さえ採取できれば作成できることです。デメリットは本人の免疫力に左右されるので、効果にばらつきがあること、費用が1回税抜55000円(注射代は別)かかります。
この治療は、ワクチンと似ており、1回接種した後、2週間後に2回目、1か月後に3回目を接種します。その後は状況により3~6か月ごとに接種していきます。